インターネット講座2001(平成13年度) 「自然に挑む先端化学」

第3回「レーザーが開く新しい科学」

大阪市立大学大学院 理学研究科 助手 八ッ橋知幸

 レーザーは光源の一種ですが、普通の電球や蛍光灯にはない性質があります(短パルス、高強度、単色性など、、)。現代では誰もがレーザーを意識することなく日常的に使用しています(例えばコンパクトディスクプレイヤーの読みとり部)。しかし一方では極度に高性能化したレーザーの世界もあり、新しい科学現象の創製、極めて高精度な計測、そして光による化学反応の制御さえも可能になりつつあります。光を用いた化学反応では「光吸収」によりエネルギーを得ますが、これは「弱い光」であることが前提です。もし「強い光」であればどうなるでしょう。さて、分子を構成しているのはプラス電荷を持つ原子とマイナス電荷を持つ電子ですが、これらを結びつけているのはプラス、マイナスの電荷の引き合うクーロン力です。「強い光」とはこのクーロン力を凌駕するようなレーザー光の事です。この場合、もはや光の吸収という概念は成り立たなくなり「分子電場とレーザー電場の相互作用」として解釈できる新たな科学現象が見られます。また、化学反応の新しい開発手段:レーザーを用いて初めて誘起することの出来る化学反応を紹介します。

おことわり

 昨年度、今年度、レーザーに関してはアト秒パルス(10-18秒)発生とか非常におもしろい話題はあるのですが、あくまでレーザーの化学への利用に関した物の紹介です。とりあえず0〜2まで。3はまだ題だけです。

 専門用語は太字で示してあります
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タイトル 内容
光化学 ごく簡単なイントロです
強光子場と分子との相互作用 光で分子を原子レベルまでバラバラに!
光で超高温分子を創世する レーザーで起こる特有の多光子反応
超高速光反応の追跡 反応のリアルタイム観測(1999年ノーベル化学賞)
光化学の参考書一覧(リンク) マニアックな本ばかりです

2001年5月31日更新


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